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Rinko Yamasaki

医者は命を救う。看護師は人を救う。

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私は阪神淡路大震災の被災者です。
そのとき体験したこと、感じたことを書いています。
まだ震災の恐怖が癒えていない人はスルーしてください。
申し訳ありません。

 

 

私は震災の9ヶ月前に大阪から神戸の病院に就職し、火の手がもっとも酷かった長田区にいました。
マンションの火災探知機が鳴り響き、廊下をバタバタと行き来する音が聞こえ、異常事態に気づきました。
真っ暗な中、廊下に出ようとしましたがドアが開かず、バンバン叩いて叫んで外からドアを開けてもらいました。

 
外に出ると、崩れて2階が滑り落ちた家と逃げ惑う人たちの様子が目に飛び込んできました。
あちこちで呻き声が聞こえ、家屋の下敷きになった人を救おうとしましたが、自分たちの手で崩れた家屋を動かすのは不可能でした。
また3方で火の手があがっており、自分たちの危機を感じました。
「小学校に行こう!きっと避難所になってるだろうから」
近くの小学校に着いたとき、ちょうど病院の人が走り寄ってきました。
「病院が!病院が大変なことになってるからすぐ行って!!」

 
同じ病院で働く看護師同士4人でヒッチハイクをしました。
徐々に近づいてきた自分たちの病院を見て…
8階建てのちょうど真ん中当たりがグシャッと潰れていました。
「え…!上の病棟がなくなってる!!」

それから3日間、さまざまな光景を見ました。

 

 

 
病院に入ると必然的に優先順位が発生していました。
怪我を負って血を流している人に手が回りません。
真っ暗な病棟に行って毛布を大量に持ってきて、寒い廊下に座り込んでいる人たちに「ごめんね、待っててね。」と言ってくるんであげることしかできませんでした。
救急に入ると、床の上やあちこちで救命措置が行われていました。
「その人はもうあかん。こっちや!」

 
人の手、道具、時間…限られた中では、救命の可能性がある人が優先されます。
”見捨てる”
“諦める”
初めてのことでした。
救急車の出動許可が出ないため、他院に搬送することもできません。
そのうち、アンビューバックと酸素ボンベがなくなり、挿管にストップがかかりました。

 

 

 
全身火傷の人が運び込まれ、私たちはその人を2階の外来室に運びました。
火傷には体表面積の計算方法があり、10%を超えると重症、20%でショック状態、50%を超える火傷は致死的だと言われます。
その人は、ほぼ全身の皮膚が焼け焦げていました。
だけど意識がある。
もう助からないことはわかってる。
だけどなぜかこの状態で意識があるのです。
おそらく30代か40代の女性。
意識がないならともかく、熱くて痛くて苦しくて悶ている人を放っておけない。
私たちは看護師だけで、とにかく水分管理をしながら皮膚の処置を続けました。

 
助からないことがわかっているのに手を施す私たち。
点滴も消毒薬もガーゼも軟膏も無駄になることがわかっている。
もしかすると他の人を救った方がいいかもしれない。
もしかすると皮膚に触らない方がラクかもしれない。
だけど想像を絶する苦しみとともに亡くなっていくこの人が、どうぞ心だけでも救われますように。
(私たちが最期まであなたと一緒にいるよ)と、その人に最期の安心を届けているかのように思えました。

 

 

 
30代くらいのお父さんが駆け込んで来ました。
「うちの子供が2人死んで、遺体がここに運ばれたんや!どこにいる?!」と。
病院では広いリハビリ室が遺体安置所になっていたため、お父さんと一緒に階段を駆け上がりました。
そこには百体以上の人が並んでいました。
いつもは元気になって社会復帰するために練習するリハビリ室が…

 
お父さんは必死の形相で「小学校2年の女の子と4年の女の子なんや!」と私の方を見ました。
遺体には一体ずつ毛布やタオルが掛けられています。
私は足にグッと力を入れて勇気を振り絞りました。
ただただ、これから悲しみを背負って生きていかねばならないお父さんのために。

 

 

 
周囲の状況を知れば知るほど、自分が生きているのが不思議でした。
残された者の役目として命の大切さを伝えていくこと、それは当然のことだと思う。
看護師はその一歩先へー

 

命を大切にするということは、
“人との関わり”を大切にすること。

人は一人で生きれない。
必ず周囲の人との関わりで、その人自身が成立しています。
また、私たち看護師の関わりが、その人自身の予後を左右します。

 

いのちを救うのは医者の仕事。
「看護師は人を救う」

命を救いたくても救えない状況で、人の心を救うことの大切さ。
クリミア戦争で看護を行なっていたナイチンゲールは、きっと最期を迎える兵士の心を救っていたのだろうと思う。
延命が可能になった現代では、ただ命を救うことだけが素晴らしいわけじゃない。
その人自身が自分の生き様を尊重できるよう、「生き方・死に方」に関わるのが看護の役割ではないかと思います。

 

 

助産師vs看護師「命の再定義」トークライブ
“生まれることの意味”と“死ぬことの意味”について。それぞれ数百件の経験をもとにお話します。
最後はご住職から命のお話があります。
どなでも参加できます(おひとり¥3000)

6月9日(土)15時~17時半
大阪・阿倍野の即応寺

 

 

 

 

 

 

山咲凛子(看護師/心力教育家)
看護師経験22年、9年前から心理療法を学び“生き方・死に方”について探究する。
コミュニケーションスクールで主任講師として活動しながら、看護師の新しい在り方を発信。
現在、18名のベテランナースと共に心理面から病気や介護を予防する看護に取り組む。
 
年間授業日数150日以上、セラピストトレーナー150名育成、卒業生400名以上。
セッション数約4000件から導き出した“幸せが連鎖する心の在り方”を伝える。

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