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Rinko Yamasaki

父親の死に目に会えなかった40代ナースからの相談

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あるナースから相談がありました。
Facebookのお友だちですが、普段はあまり関わりのないナース。
メッセージには3日前に亡くなった父親のことが書かれていました。

 
自分の病院に入院していたにも関わらず、最期の瞬間に立ち会えなかったと。
初七日が過ぎても、今の病院に戻る気がしない…という内容でした。
メッセージではなく電話で話を聞くことにしました。

 
彼女は父親が息を引き取った瞬間、自分も他の病棟で勤務していたのに連絡がもらえず、最期の瞬間にそばにいてあげられなかったことを悔やんでいました。
それは病院への怒りになっていました。

 
ちょっと不思議な感覚がしました。
一昨日、昨日、お通夜と葬儀を済ませたばかりの状態。
その状態で悔しさ、怒りを表出するだろうかと。
いえ、そうかもしれません。
ですが、それを語る彼女の声や話し方や言葉に違和感がありました。

 

 

 
今の様子を聞きました。
父・母・そして彼女の3人ぐらしだったと。
お母様も長い間看護師をされていたそうです。
で、どんな様子かお伺いすると、お母様は毅然と振る舞っていてあまり話をしていないとのことでした。

 
長年連れ添った夫を失ったのに毅然と振る舞っている母、そして自分の病院に怒っている娘。
そこで尋ねました。
お父様が自宅で療養していた数年間、あなたは娘として十分関わりましたか?と。

 
しばらく黙っていましたが、ときどき詰まりながら話し始めました。
私は父に十分関わってあげることができなかった、
どうしても、自宅のベッドで寝ている父に看護師で関わってしまう自分がいて…
自分の父なのに、娘として何をしていいかわからず、何もしてあげられなかった!
すごく冷たい娘になってしまっていました…!と。

 
その淡々と話す口調に違和感がありました。
唯一の父親が亡くなって、平然としていられるはずがないのに…
「◯◯さん、あなた泣きなさい。お父さんが亡くなって泣いてないでしょう?」と。
するとしばらく沈黙が流れた後、彼女は声にならないような声を吐きました。
「う…、う…、私、私…、泣けないんです…!!」
「自分の父親が死んだっていうのに、私、なぜか泣けないんです…!」

 

 

 
私は、看護師に生じやすい心の弊害について話しました。
看護師は看護師でないときも看護師で居続けてしまうのです。
それは常に周囲の期待に応える責任感ではあるけれども、自分の父親の末期にも看護師で関わってしまうこと、

 
本当は家に帰ると看護師の自分を脱いで、娘の自分に戻ってあげなければならないことを話しました。
それはお母様も同じこと。
看護師の自分を脱いで、妻の自分に戻ってあげなければなりません。
そうでなければ、あまりにも冷たい家族なのです。

 
その話を聞いた彼女は、声にならない声を漏らしました。
そして堰を切ったように泣き始め、その後約15分間嗚咽のような鳴き声だけが電話で流れました。

 
『 看護師病 』
私たちは責任感の強さと忙しさから、感情に蓋をすることに慣れてしまい、表出できなくなってしまいます。
看護師の自分が日常になってしまい、そうでない自分をいつの間にか忘れてしまうんですね。

 

 

 
約1時間の電話相談。
無事、泣くことができるようになった彼女に、私は3つお願いをしました。

お母さんの前で泣いてあげること。
お母さんもまた泣けない看護師になり、妻としての自分を失っているからです。

そして毎日ちゃんと泣いて、心の中にいるお父さまと十分に話をすること。

もし初七日を過ぎても働く気がしなければ無理しなくてもいいこと、あなたが自分を押し殺してまでその病院に尽くす必要はないと伝えました。

 

 
一週間ほどして彼女からメッセージがきました。
初七日を過ぎて一応出勤したけれど、嫌だったのですぐに帰り、その後休んでいると。
まるでいたずらっ子のような、子供の表現に変わっていました。
その後、転職を目標に心理セッションに移行しました。

 

 

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