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「介護サービスを安易に提供しないことが予防看護」認知症の暴力に見極める目を。

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とても興味深い介護の記事があったので転写します。
後にコメントを書いています。

 
…  …  …  …  …
 

テーブルにあった直径約20センチの陶器の灰皿が飛んできた。よける間もなく、右の前腕部を直撃した。大きな青あざができた。

昨年8月31日、大阪市住吉区の河村健さん(77)は痛みに顔をゆがめたが、しばらくすると、妻(75)に優しいまなざしを向けた。約1カ月前に居間でテレビを見ていた時は突然、おでこに鈍い痛みを感じた。血がしたたり落ちるのが分かった。

振り向くと、妻がベルトを持っていた。ベルトで頭を殴られ、先端のバックルが当たったのだ。河村さんはタオルで血をふき取りながら、ほほ笑んだ。認知症の妻は、この1年ほど前から、自宅で河村さんに暴力を振るうようになった。理由も告げないで、いきなり大声で怒り、目の前の物を投げつける。かみついてくることもある。

しばらくすると、何もなかったように元に戻る。「その傷どうしたん?」。妻は何も覚えていないのだ。河村さんはこれまでも、灰皿が当たってあばら骨などにひびが入る大けがをしていた。今回も病院でおでこの傷を縫った。

それでも、興奮した妻に触れたり、逃げたりしたことはない。「病気だから妻は何も悪くない。気が済むまで暴れたらいい。全てを受け止めたい」

◇   ◇

妻は自宅1階でクリーニング店を営んでいた。はっきりと異変が出たのは約5年前だった。お金の計算を間違えたり、常連客の名前を忘れたりした。認知症だった。店を閉じさせて、河村さんは妻の介護を始めた。

症状は日を追って悪くなった。毎日、徘徊(はいかい)した。真夏に約7キロ先まで歩いて倒れたこともあった。玄関のドアが開くと音が鳴る装置を付けた。

河村さんを最も悩ませたのは、人が変わったように妻が暴れることだ。「ぼけ、死ね」。河村さんに罵声を浴びせる。ただ、他の人の前ではこうはならない。気丈に暴力を受け止めていたが、体だけではなく心も傷ついていくのが分かった。「限界だ」と感じるようになった。

◇    ◇

昨年11月末、自宅の階段で転びかけた妻を助けようとして、河村さんは下まで滑り落ちた。脊椎(せきつい)を損傷し、入院した。妻を施設に預けた。1月末に退院したが、足腰が弱り、よちよちとしか歩けない。今は週に3回、リハビリに通っている。

年金暮らしだから、妻の施設の費用がしんどい。何よりも、50年連れ添った妻がいないから、さみしさがじわっと湧いてくる。勤めていた金属加工会社で職場結婚した。妻は退職してクリーニング店を開き、仕事だけでなく、家事や子育てをこなした。妻は優しく、河村さんら家族を気遣ってくれたという。休日には夫婦で近所を散歩するのが楽しみだった。

認知症になっても妻への思いは変わらない。「最期まで面倒を見る」と誓った。昨年春に2人で散歩していた時、近所の人から浴びせられた言葉が頭から離れない。「お前の嫁は頭おかしくなったんか」

やっぱり、妻のそばにいてあげたい。自分がいないと、妻はどうなるのか。近々に妻を自宅に帰すことを決めた。以前より体は弱ったが、もう一度、介護生活を始めるという。

「楽しみ半分、不安が半分。それでも妻のために頑張るだけや」。河村さんの目が潤んだ。

 

介護家族苦悩ときずな
「限界」でも受け止める認知症の妻の暴力と罵声

 
…  …  …  …  …
 

この記事を読んでどのように思われたでしょうか。
大変…
デイサービスかショートステイを利用すればいいのに…
一般的にはそう思う人が多いかもしれません。

 

この夫婦に必要なのは、夫に代わって介護をしてあげることではないんです。
妻を預かってくれる施設を探してあげることでもないんです。
なぜなら、夫は妻を理解し受け入れることで、失った夫婦関係を取り戻そうとしているから。
それを安易な介護で邪魔をしてはいけないと思います。
ただ、時には折れそうになる夫の心を支えてあげられる支援者。
“人の関わり”が必要なんですね。

 

人は誰とも関わりがなくなったとき、絶望の淵に立たされます。
自分の存在価値を失います。
でも誰かがしっかりつながってあげていれば、立ち直ることが可能なんです。

 

もし妻が介護施設に入所した場合どうなるでしょう。
恐らく一切、物がない空虚な部屋で、鍵をかけられて24時間過ごすことになるでしょう。
本人と同居者の安全を守るために仕方のないこと。
ただ、妻が落ち着いている普通のときも、同じ部屋で閉じ込められたままになります。
認知症はさらに進行し、身体の機能が低下して寝たきりになるのは時間の問題です。
安易な介護は、時に人を廃人にしていまいます。

 

そしてこの先必要なのは、夫が認知症にならないように予防を図ること。
もし妻が先立って夫が一人残されたら、生きる気力を失うかもしれません。
夫は今、妻の支えになっていることで、自分自身の価値をつくっているから。
妻を失うと同時に生きる意味を失ってしまう恐れがあります。
ここに働きかけをするのが“予防看護”。

新たな目的を一緒につくってあげること。
要介護状態になる前に。

 

これから高齢を迎える団塊の世代の方々は、人生のほとんどを社会のために費やしてきた年代です。
仕事のために家族を犠牲にし、自分の人生を犠牲にしてきた時代。
ゆえに仕事の成果や報酬、出世、マイホームやマイカーなどの物質、贅沢な食べ物や旅行など他者評価が自分の幸せの基準になってしまったんですね。
そして、社会に尽くしてきたのだから、後は社会がどうにかしてくれる。国がどうにかしてくれる。。
年金と介護保険と子供たちが…、と思い依存しても仕方がないかもしれません。

 

すでに介護を受けている人が、これから自分の人生に目的を持つのは難しいと思います。
だからこそ予防が必要。
仕事のために自分を犠牲にせず、物質や他者評価に溺れず、自分自身が生きている価値をつくるべきなんですね。
それが“心の健康”です。
看護師にしかできない関わりなのでは、と思っています。

 

【看護の本質とは】

看護の本質は「関わり」である。
コミュニケーションを通して心の問題を解き
その人なりの正道に従えるよう導くこと。
その人が正しいと思う日常生活が維持でき
健全な心と身体を取り戻す関わりが看護の本質である。
そのため看護師自身が実存的価値を持ち
自らの心身の健康を実践しているべきである。

山咲凛子     

『看護の本質は“関わり”である』~理想と現実のギャップとは~

 

 

ナースが読む【心と身体のStudyMail】

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