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Yamasaki Rinko

「怖いと立ち止まってしまうのはなぜ?」ナースが学ぶ心と病気の連鎖/第2講

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ナースが学ぶ心と病気の連鎖
第2講「怖いと立ち止まってしまうのはなぜ?」

 
第1講では、心は心臓ではなく脳にあるということ、心は文学ではなく科学的に解明されてきていることをお伝えしました。

「辛いとき胸が苦しくなるのはなぜ?」
http://rinko.in/archives/4767

心が脳にある、文学ではなく科学だと言われると、ちょっと淋しい気がしますね。なぜ淋しく感じてしまうのかも、この第2講を読めばわかります。自分自身を知るためにお付き合いくださいね。

私たちは心の状態を表すとき、何かに喩えた抽象的な表現をします。「不安に襲われる」「大きな壁が立ちはだかる」「心が凍りつく」…心(感情)は姿形が無いため、人によってさまざまな表現をするんですね。

有るといえば有るような、無いといえば無いような、でも確かに感じている。感情って一体どうやってつくられるのでしょうか。

 

 

2500年前の仏陀の時代、人間は六根(視覚・聴覚・体感覚・嗅覚・味覚・意)という6つの感覚で物事をとらえていると言われていました。2500年も前からこうして心の研究が行われていたなんて面白いですね。

そして脳科学の研究が進んだ今、人間は五感(視覚・聴覚・体感覚・嗅覚・味覚)で物事をとらえていることがわかっています。2500年前は体感覚と感情(意)が区別されていましたが、現在は同じものとしてとらえています。

身体の感覚と感情が同じ。興味深いですね。

 

 

5つの感覚器官から脳に送られた情報は、いったん短期記憶の「海馬」というところに集められます。そして眠っている間に大脳新皮質の各部位に振り分けられて長期記憶になります。

特徴的なのは、自分が覚えているか覚えていないかに関わらず、気づいていたか気づいていなかったかに関わらず、すべての情報が記憶されること。たとえば、今日あなたの目に映ったもの全部。聞こえていた音も全部。感じていた感覚も全部です。

もし音楽に集中していて車の音に気づかなかったとしても、車の音も記憶しています。今お尻で感じている重みの感覚も、どこかですれ違った知らない人の顔も。あなたが生まれてから今この瞬間までのすべての情報が、大脳新皮質に記憶されています。ものすごい情報量と記憶容量なんですね。

ただ、これほど膨大な情報を整理しようとすると、脳はパニックになってしまいます。そのため数々のフィルターで気がつかないようにして、今自分が焦点を当てている事柄だけ気がつくように調整してくれています。

 

 

そして脳の少し深いところにある「海馬」と、そのすぐ横にある「扁桃体」。この2つの機能によって感情がつくられます。そのとき大脳新皮質に記憶された膨大な情報から、よく似た情報の集まりを探します。

私たちは日々、起こった出来事の意味を考えますね。「これはきっと◯◯ということだろう」「これは最悪だ」「これは素晴らしい」という自分なりの解釈によって感情を感じます。

このとき大脳新皮質にある過去の情報を照らし合わせています。言い換えると自分の知識と経験。それ以外参照するものがないので、当然といえば当然のことですね。

実は脳は横着者。毎回新しく感情をつくり出しているわけではなく、自分が過去に経験したことや、テレビドラマや映画で観たこと、人から聞いた話などを照らし合わせて、そのときとよく似た感情を生成しているのです。

 

 

“恐怖”という感情がどのようにできるのか見てみましょう。

たとえば、あなたが山道を一人で歩いていると、少し向こうに長さ1mほどの細長くくねった茶色いものが見えました。視覚の情報が脳の海馬と扁桃体に送られます。すると脳内では大脳新皮質にある記憶を参照し、即座に「ヘビだ」と判断します。

それは図鑑で見た写真であったり、テレビの映像で見たものであったり、自分が過去に体験した記憶であったり。そのときに感じた気持ち悪さや感情も同時に思い出しています。

そして脳はその情報に基づいて「止まれ」「力を入れろ」「身体を守れ」と司令を出します。足が止まり、全身の筋肉はキュッと固くなって緊張し、鳥肌が立ちます。私たちはこの身体の反応を“恐怖”として感じているのです。

本当はヘビではなく茶色いロープなのですが、脳は横着者だということです。日常で起こるさまざまな出来事に対して起こる感情も同じ。私たちは常に過去で得た知識や経験をもとにして感情をつくり体感しています。

 

 

体感覚=感情が同じ。この理由がわかりますね。脳内でつくった感情が身体に現れています。やはり私たちは身体で感情を感じているんですね。身体で感情を表現しているとも言えるでしょう。【からだ=こころ】なんですね。

また私たちが常に自分の過去を照らし合わせて物事をとらえているということは、人それぞれに理解や判断があって当然だということ。子供の頃から冒険の映画を観て面白いと思った経験が強い人は、恐る恐るヘビに近づくだろうし、闘いに勝つことで喜びを感じた経験が強い人は、ヘビをやっつけに行くかもしれません。心の状態によって身体の状態も変わるんでしたね。

人間はテレビドラマや映画や本などのストーリーが大好きです。子供も大人も一緒。喜んだり悲しんだり怖がったり、主人公と自分を一緒のように感じて手に汗を握り感動します。それが豊かな感情を育んでくれるからです。そして自分自身もそう在りたいと望んでいます。人は皆、自分ストーリーの総監督であり主人公であり、ファンタジーが大好きなのです。

もし望ましくない感情を感じたとき、自分自身に質問をしてみましょう。「それ、本当?」と。そして目の前で起こっている出来事をよく見てみましょう。聞こえてきた言葉をもう一度よく吟味してみましょう。脳は横着者です。もしかすると“思い込み”が感情をつくっているかもしれませんね。

でもやっぱりファンタジーが大好きで主人公でいたいなら、泣き、笑い、辛さに耐え、闘い、喜べばいいんです。豊かな想像力で文学表現を行なって、自分ストーリーの主人公であることをしっかり意識して演じ切りましょう。

ただ、脳が横着者でありファンタジー好きであるということは、本当に自分が望むストーリーにつくり変えることもできます。出来事に左右されて望まない感情をつくってしまっている自分に気づき、本当に自分が望む幸せストーリーをつくっていきたいですね。

 

看護師・心力教育家/山咲凛子
20160414074241

 

 

 


 

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