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医療に活かす実践心理学/ターミナルケア・緩和ケアのコミュニケーション

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現在、がん(悪性腫瘍、悪性新生物)は、私たちの生活から切り離せない病気です。1981年以来、がんは日本人の死因第一位になっており、平成22年時点で年間約100万人が新たに発症し、年間36万人が亡くなっています。死因の約30%を占め、3人に1人はがんで亡くなっている状態です。

 
これに伴いホスピス(緩和ケア)が増えています。ホスピスはとくに積極的な治療をせず、最期のときを迎えるまでの間、苦痛を緩和しながら安息に満ちた時間をケアする目的でつくられた施設です。がんの場合、ほとんどの施設が本人への告知を条件とし、そこで従事する人は非常に高度な関わりが求めらています。

 
不安定な患者の心を理解し、自分自身に経験のない道のりをサポートする専門家。人生の最期を迎える患者にどう関わるべきか、常に探求し謙虚な心で日々切磋琢磨する仕事だと思います。聖職者である方々に筆者が意見できることはあまりありませんが、医療従事者がどのような状態で関わることが最善なのか、コミュニケーションの観点でまとめます。

 

 

 

医療に活かす心理学
~ターミナルケア・緩和ケアのコミュニケーション~

 

 

1.死の受容

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キューブラー=ロスは200人の死にゆく患者との対話の中で以下の5つの死の受容のプロセスがあることを発見しました。ただし、すべての患者が同様の経過をたどるわけではないとしています。

 
第1段階 「否認」
患者は大きな衝撃を受け、自分が死ぬということはないはずだと否認する段階。「仮にそうだとしても、特効薬が発明されて自分は助かるのではないか」といった部分的否認の形をとる場合もある。

第2段階 「怒り」
なぜ自分がこんな目に遭うのか、死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける段階。

第3段階 「取引」
延命への取引である。「悪いところはすべて改めるので何とか命だけは助けてほしい」あるいは「もう数ヶ月生かしてくれればどんなことでもする」などと死なずにすむように取引を試みる。神(絶対的なもの)にすがろうとする状態。

第4段階 「抑うつ」
取引が無駄と認識し、運命に対し無力さを感じ、失望し、ひどい抑うつに襲われなにもできなくなる段階。すべてに絶望を感じ、間歇的に「部分的悲嘆」のプロセスへと移行する。

第5段階 「受容」
部分的悲嘆のプロセスと並行し、死を受容する最終段階へ入っていく。最終的に自分が死に行くことを受け入れるが、同時に一縷の希望も捨てきれない場合もある。受容段階の後半には、突然すべてを悟った解脱の境地が現れる。希望ともきっぱりと別れを告げ、安らかに死を受け入れる。この状態で最期の言葉を残すことが多い。

 
第5段階の死に臨んだ静かな境地を、キューブラー=ロスは「デカセクシス(Decathexis)」と呼びました。自分自身を周囲の世界とのかかわりから引き離すというような意味です。これは日本語の”解脱、涅槃の境地”、”無我の境地”などに該当します。

 
このときに患者は頻繁に短い間隔で新生児のようにウトウトとまどろむ必要があると説いています。キューブラー=ロスは凡人でも周囲の人々の愛と協力があればデカセクシスに容易に到達できるとしました。また、愛と協力の本質はコミュニケーションであるとしました。

 

 

 

 

2.共感プロセスで関わる

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従事者は第1~第5段階全過程において、患者への肯定的態度が必要となります。患者によっては今さら悟りの境地など知りたくない、もう何も聞きたくないという人もいるでしょう。そんなとき従事者にできることは、完全な共感的態度を一貫することでしょう。

 
共感する態度とは、言葉で行うコミュニケーションではありません。ただそばに寄り添っているだけで成立するコミュニケーションです。ただし何もしないのではなく、患者の価値観を受け入れる姿勢をとります。私はあなたと同じ世界にいますよ、ということを暗黙的に伝える技術です。

 

 

 

 

3.非言語のコミュニケーションを行う

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非言語のコミュニケーションは、通常気がついていませんが無意識的に行なっています。たとえば同じ目線の高さに座る、向かい側より斜め横に座る、同じものを一緒に見るなど。さらに、声のトーンを合わせる、声の大きさを合わせる、口調の速さを合わせる、体の動きを真似る、呼吸の速さや深さを真似るなど。

 
患者が話しているとき必ず息を吐いているので、従事者も細く息を吐き続けます。患者が話をやめて息を吸っているとき、従事者も息を吸いながらあいづちも行います。多少のタイムラグがあっても大丈夫です。呼吸を相手に合わせることは効果が早く、自然に声のトーンや大きさ、口調の速さ、からだの力の入り具合や抜け具合が合ってきます。

 
また、何を話すかではなく、どう話すかに重点をおき、同じ言葉を使う、言葉尻を真似る、つまり…ということですね、と要約するなども効果があるでしょう。従事者のこうした共感的な態度によって、患者は自分自身が肯定されているという感覚を持ちます。

 

 

 

 

4.ラポールをとる

 

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電車の中で仲良さそうに話している女子高生を思い出してみてください。同じようにつり革を持って、同じように肘にカバンをかけて、同じ声のトーンや大きさで、同じ口調の速さで、同じ言語を使って話していますね。普段私たちは無意識的に行なっていますが、それを意図的に行うことが、相手の世界を理解することにつながります。

 
この、非言語で行うコミュニケーションは「ラポール」と言います。ラポールを維持すれば、たとえ反対意見を言っても対立しないでしょう。ラポールは体の使い方を患者に合わせて、協調状態をつくり出します。もしあなたが日々患者との間にこの状態をつくり出すことができれば、患者はあなたのアドバイスを受け入れることができるようになるかもしれません。

 

 

 

 

 

5.自分の状態を整える

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最期を迎えることを余儀なくされた患者は、今さらお説教を聞きたくないでしょうし、いろいろ指示されることさえ嫌うでしょう。あるいは死を待つだけの患者は生きるための目的も意欲も失っており、さらに様々な症状もあることから、些細なことでも頑張ることや努力することが困難な状態です。とはいえ従事者として放っておくわけにはいきませんね。残された時間を安らかに過ごしてほしいと思うからこそ、患者に何かもたらしたいと思うでしょう。

 
従事者が最期を迎える患者に出来ることは、誠心誠意、自分の心身の状態を整えて関わることでしょう。そのためにできる一つの方法として「調身」と「調息」があります。

 

 

 

 

6.調身と調息を図る

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従事者が自分の心身を整える方法は「調身・調息」です。まず「調身」は静かな場所で落ち着いて座って行います。からだを左右に揺らして中心を確認します。またからだを前後にも揺らし、自分のからだのセンターを意識します。第1チャクラから第7チャクラまで真っ直ぐ並ぶのを意識しながら、頭が天から吊り下げられているような感覚で、背筋をスッと伸ばします。その姿勢を保ったまま余計な力を抜いてリラックスします。

 
「調息」は調身の姿勢を維持しながら、ゆっくり呼吸をします。規則正しく安定した呼吸を心がけ、できれば鼻呼吸を行います。慣れてきたら腹式呼吸を行いましょう。からだの細胞はすべて、酸素を活動のエネルギーとして活動します。からだの隅々まで酸素が十分行き渡るようなイメージで調息を続けます。

 
この「調身・調息」は、からだが最も休養している状態。人間は横になってゴロゴロしたり、旅行に出かけて気分転換をすることが休養なのではなく、正しい姿勢で十分な酸素を摂取しているときが最も休まっている状態なのです。そして日頃のイライラした感情やさまざまな出来事、悩みなどは一旦横に置いて患者を訪室します。

 

 

 

 

7.ホメオスタシスの同調原理を用いる

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ラポールは“波長を合わせるコミュニケーション”です。
体が動く=筋肉が動く=細胞が動く
→空気を微細に振動させる→波長が起こる
というプロセスで、相手の波長に自分の波長を合わせています。

 
人間の体の細胞は約60兆個ありますが、一つ一つが単体で活動しながら、何万個、何十万個、何百万個という集合体をつくって一つの機能を果たしています。そして各臓器もバラバラに活動しているわけではなく、ホルモンや神経などの作用によって、常に全身の恒常性を保っています。この機能をホメオスタシス(恒常性維持)と言います。

 
人ひとりのからだはホメオスタシスによって保たれていますが、従事者と患者の間にしっかりしたラポールがあれば、細胞レベルで波長が合ってきます。自分のホメオスタシスと相手のホメオスタシスが同調するんですね。基本的に優位な波動の方が影響するため、患者の状態が従事者に影響することはありません。非言語のコミュニケーションにより、人間は想像以上の能力を発揮します。

 

 

 

 

8.呼吸をリードする

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末期を迎え、言葉を話すことも体を動かすこともできなくなった患者に、従事者として最後にしてあげられることは何でしょう。多くの患者が最後に苦痛を感じるのは呼吸状態です。呼吸は本来、他者が作用できるものではありません。けれど従事者と患者との間に安定したラポールがあり、ホメオスタシスの同調原理があれば、相手の呼吸に作用することが可能になります。

 
心身の状態を整えて訪室した従事者は非常に安定した状態です。心身が不安定で促迫した呼吸になっている患者のそばに、従事者が落ち着いた気持ちで座り、患者の手を握るか、患者の胸の上に手をかざします。そしてまず従事者が患者の呼吸の速さに合わせます。合ってきたことを感じたら、徐々に従事者が呼吸の速さを変え、ゆっくりした呼吸へと導いていきます。

 
これは従事者自身の心身の状態が整っていなければ、難しいかもしれません。また従事者自身ができないと思っていると、できないかもしれません。従事者が自分自身をコントロールできると信頼しなければ、ホメオスタシスの同調原理により、患者も自分自身の力を信頼できないのです。

 

 

 

 

さいごに

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従事者が自分の心身を整えていく技術は、内気功のトレーニングです。また従事者の状態を患者に伝播する技術は、外気功のトレーニングです。看護師の「看」という字は「手と目」という字の組み合わせ。手と目で看護するという意味を持っていますが、誰でも手の平に大きな気の通りがあり、トレーニングによってエネルギーを扱うことが可能になります。お母さんが子供のお腹をさすったり、看護師が患者の痛い部分をさするのも、すべて気のエネルギーを用いています。

 
筆者が以前、気功のトレーニングとして《エネルギーボディワーク》という教室を行なっていたことがあります。YouTubeを観ながらトレーニングができますので、必要であればご利用ください。

https://www.youtube.com/channel/UCTnIKJesNApwXYCCSwQ8vTQ

 
患者が従事者と共に、安息に満ちた時間を過ごせることを願っています。。

 

 


 

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