22Aug

対人コミュニケーションの悩みは尽きないようです。
いろんなことをよく知っていて、笑わせるのが上手で、話を聞いてくれる人がたくさんいたとしても、それがひとり舞台だった場合。
効果は何も生まれないでしょう。
人間の基本的欲求として、アブラハム・マズローの自己実現論に『承認の欲求』があります。
自分が価値ある存在と認められ尊重される、という欲求です。
この欲求が妨害されると、劣等感や無力感の感情が生じます。
よって、人は基本的に、相手に何かを求めて行動しています。
コーヒーを入れて欲しい。
美味しいものを作ってほしい。
お小遣い上げてほしい。
そこのお塩取って。
私の意見を認めてもらいたい。
買ってもらいたい商品がある。
この契約を進めたい。
私を好きになってもらいたい。
これらはすべて承認の欲求、つまり“自分から相手へのオーダー”です。
このオーダーが、日々通るか通らないかで、人生はずいぶん違ってきます。
けれど、この“オーダー”を通すために、先にやらなければならないことがあります。
それが『3つの秘訣』です。
①まず、相手をよく見ること
相手の顔だけをよく見るのではありません。
目は顔を見ながら、相手の全体を見ます(視覚情報)。
手の動かし方、首の動き、姿勢、座り方、立ち方、足の位置…
全身の力の入り具合、呼吸の速さも。
そして耳も使います(聴覚情報)。
相手の声の大きさ、高さ、口調の速さ。
相手が使っている言葉、口癖なども。
②相手に合わせること
相手にも、自分と同じように『承認の欲求』があります。
自分の“オーダー”を通したいなら、まず相手に合わせて相手の欲求を満たす必要があります。
そこで、①で得た相手の見ためを完全に真似します。
身振り手振り、体の動かし方は、まるで鏡であるかのように。
声の出し方や話し方は、まるで再生機であるかのように。
③そして相手に喋らせること
あとは相手が気分よく喋れるような雰囲気作りをしていきます。
それは普段からよくやっている「あいづち」です。
はぁー、へーぇ、ほーぉ。
それで? それから? なるほどー、などで相手をどんどん喋らせます。
相手が使っている言葉を同じように使ったり、口癖を真似たりしながら盛り上げていきます。
相手が調子よく話しているとき、相手の動きや声を真似ていても、相手は話に夢中になっているので、そのことに気が付きません。
露骨に真似をしても大丈夫です。
初対面の人でも、身近な人でも。
いかに調子よく喋らせて、相手が話に夢中になっている間にどれだけ露骨に相手の真似ができるか、これが“オーダー”を通すコツです。
しかしながら、この①②③を実践している間、相手の話の内容に聞き入ることができません。
コミュニケーションがヘタになったような気がします。
それでも尚、この①②③を優先することは効果を生み出します。
なぜ、この3つが対人コミュニケーションに必要なのでしょうか。
その理由は2つあります。
ひとつめは《メラビアン》の法則。
アメリカ心理学者のアルバート・メラビアンは、他人に影響を与える行動について
・視覚情報(見ため)…55%
・聴覚情報(話し方)…38%
・言語情報(話の内容)…7%
と言っています。
①の「まず相手を見ること」で、すでに相手の93%の情報を得ていると言えます。
話の内容を合わせたことろで、わずか7%の効果しかありません。
よって、①②③を優先した方が効果的なんですね。
なぜなら、『心と体はひとつ』だから。
体の動きは思考や感情に左右されています。
よって体の動きを真似ることは、相手の思考や感情に合わせていることと同じ。
それは「私はあなたのことを認めているよ」「わかっているよ」ということを暗示的に示すことになります。
ふたつめは《関係性の確立》です。
Aさんが①②③を実践した結果、Bさんは調子よく喋って楽しんでいます。
その場のイニシアチブを握っているのはどちらだと思いますか?
実は、『Aさん』です。
なぜかと言うと…
Bさんがその場を楽しめるか楽しめないかの“カギ”を握っているのは、Aさんだから。
人には「自分の話(意見)を聞いてほしい」という欲求が基本的にあります。
それを満たしてあげるか、満たさないかの『カギを握る人』になることがその場を制します。
よって、この後におこなう“私のオーダー”が通りやすくなります。
しばらく相手の話に耳を傾けた後、次は自分から動きを変え、相手がそれにつられて動くようであれば。
いよいよ自分が話す番です。
人生を充実させたいなら。
目先の満足よりも、その先にある《効果》を優先しましょう。
対人コミュニケーションには《感情》がつきものです。
対人関係で問題が生じた場合の《3つの極意》を次のメルマガでお伝えする予定です。
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~ひとひらの凛~